2025.3.15 進路指導

日本の高校生は「コミカレ」から4年制大学に編入するのがふつうなのか

森 成業 写真
海外大学進学研究会コンサルタント森 成業Seigyo Mori

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私が海外進学に取り組み始めた頃、周囲には「日本の4年制大学で学生の学力低下が問題となっているのに、日本の高校生が海外の4年制大学へ直接進学するのは無謀だ」と言う人が結構いました。別の人達は「コミカレで4年制大学の授業についていける英語を身に着けながら同時に単位も取り、卒業後4年制大学に編入するのが日本人に合っている」と言っていました。「コミカレ」とは「コミュニティー・カレッジ」(community college; 短大) のことです。

こういった意見は日本の高校生一般に実践的な英語の能力がないという前提に立ったものですが、TOEFL® や IELTSTM といった英語検定試験で一定の点数以上を取った高校生には、このような回り道をする必要がありません。4年制大学に直接進学していった私の卒業生達で「授業で先生が何を言っているのかさっぱり分からない」式の愚痴をこぼす者は一人もいませんが、彼等の誰一人として語学の達人ではありません。巷で「海外で暮らせば英語は自然と身に付く」という意見を聞くことがあります。少々荒っぽい言い方だとは思いますが、大学入学前に一定の英語能力を証明できればオールイングリッシュの学習環境に適応できるという意味では当たっていると思います。

驚くべきは米国教育統計センター (National Center for Education Statistics: NCES) のデータで、これによると2014年に米国の4年制大学に入学した学生が6年以内に卒業した割合が平均約64%であるのに対し、2017年に米国の2年制大学に入学した学生が3年以内に卒業した割合が平均約34%と、およそ半分である点です。これは日本人学生に特化したデータではありませんが、学業不振だけが大学中退の理由でないことは明らかです。米国の4年制大学中退の理由としてよく挙げられるものには、学費が払えなくなった、モチベーションがなくなった、人間関係に疲れたなどがあり、これは海外進学準備が単に英語能力の向上だけで済まないことを雄弁に物語っています。