2025.10.25 進路指導

生徒が英語圏以外にある大学を希望したらどうすればよいのか

森 成業 写真
海外大学進学研究会コンサルタント森 成業Seigyo Mori

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生徒・保護者にとって「海外の大学」は英語圏の大学とは限りません。実際、当時の私の勤務校で実施された説明会においても、英語圏以外にある国への進学をサポートしてくれるのかという質問を受けてきました。これは、学びたい事を学びたい環境で学ぶという、海外大学進学の本来の目的から考えれば当然の質問だと思います。ここで「現地語が達者でなくては無理です」と答える事は、実は間違っています。英語圏以外の選択肢がある事は生徒・保護者に紹介も出来ますし、その現実味も十分あります。

「現地語が達者でなくては無理」だと考えてしまう事は日本国内の状況を反映したものに過ぎません。日本の大学の学士課程に在学する外国人学生の圧倒的多数は少なくとも「日本語能力試験®」(Japanese-Language Proficiency Test: JLPT) の「N2」(旧2級) に合格しているか、或いは「日本留学試験」(Examination for Japanese University Admission for International Students: EJU) で200点以上などを取っており、大学の授業を日本語で受けています。だからこの外国人学生が達者な日本語を使う事は当たり前なのですが、実はこの日本の状況の方が世界的には少数派です。

英語圏以外にある大学へ進学するために現地語を学ぶ必要はありません。日本にも慶応大学の GIGA プログラム (総合政策学部・環境情報学部) や上智大学の国際教養学部のように、英語だけで学べる学士課程プログラムがごく少数ながら存在します。一方で海外、特にヨーロッパには英語だけで学べる学士課程プログラムが日本よりも遥かに多くあります。

英語だけで学べるプログラムを探す方法ですが、基本的には検索エンジンに「Study in (国名) 」と入力すれば各国の大学検索ポータルへ辿り着けます。例えば「Study in Korea」と入力して調べれば韓国の検索エンジン付きの大学情報ウェブサイトにヒットします。国によって検索エンジンの使い方は当然異なりますが、韓国の検索エンジンの場合は、「大学を検索」ボタンをクリックし、「統合検索」のページに入れば絞り込み検索が出来ます。ヨーロッパ大陸の各国はこの韓国の例より遥かに選択肢が多いので、以下でご紹介したいと思います。

検索エンジンに「Study in Europe: Country profiles」 と入力すれば、リンク先に EU 加盟国ほか、計33カ国のリンクが並んだページが出てきます。それぞれのリンク先のページをクリックすると、「Higher Education」(高等教育) の欄があり、そこにある「English-taught study programmes」(英語で学べるプログラム) などのリンクをクリックすると、その国の大学が検索出来るページが出てきます。但し、一部のアイコンにはリンク切れなどがあります

ヨーロッパ各国の中でもオランダのプログラムの充実ぶりは群を抜いています。オランダの「Study in NL」というサイトは英語だけで学べる2,000近くのプログラムから条件検索ができ、更に検索した各プログラムへのリンクもついています。ちなみに、オランダには Studielink という大学共通出願システムがあり、このシステムを使うと4コースまでアプライ出来ます。オランダの規模には届きませんが、デンマークの「Study in Denmark」の検索エンジンでは500以上の英語で学べるプログラムからの条件検索ができます。また、フィンランドには STUDYINFO という大学共通出願システムがあり、このシステムを使うと Joint Application (併願) を用いた場合は、同一の申請で 6コースまでアプライ出来ます。ちなみに、英語だけで学べる学士課程コースを日本の「Study in Japan」で検索すると9大学しか表れず、日本には英語で表記された大学共通出願システムもありません。今も日本の大学での学びは日本語で行うのが標準だという事が、ここにもよく表れています。

最後に、やがて就職活動などの際に「なぜ英語圏でない国の大学を英語で卒業したの?」と問われる事には準備しておく必要があります。但し、その答えが「その国が好きだから」とは限りません。以前のコラムで、アメリカやイギリスの大学の学費が他国の大学より高い事をご紹介しました。また、以前ご紹介した「ボストン・キャリアフォーラム®」に参加する各企業の基準も、「海外」大学卒業が条件とはあっても、「英語圏の大学」とはありません。従って、金銭的に少しでも安く学位を習得し、且つ日英バイリンガルとしての強みを活かして就職するプランはあり得ます。但し、学びたい事を学びたい環境で学ぶ機会をお金のために犠牲にしたとすれば、それは本末転倒である事を想起する必要があります。